@すぷりんぐの感想

エロゲ 感想

【スマホ版】AQUA(SORAHANE) 感想

 

 こんにちは、@すぷりんぐです。今回プレイしたのはsorahane制作の『AQUA』というゲーム。


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評価がそれなりに高かったので今回プレイしてみました。8年前のソフトというわけでもあり、シナリオも綺麗に終わったというか、特別長く書くような不満点もなくすっきり終われたので一応プレイ日記という形で。

 それでは簡単な感想を。

 

 

 

 

 

 作品テーマとしては『命』と『絆』。キャッチコピーは『距離0メートル、ふたり一番近い場所』。正直な話、キャッチコピーに関してはよくわかりませんでした。テーマについて触れるならば確かに劇中で触れられる大きなテーマだったと思います。

 このテーマに沿ってお話を進めていく中で、一番面白いと思った要素は、『嘘』から『真』へと徐々に周りが変わっていくその描写だったんじゃないかと思います。

 

 思い返してみれば、登場人物のほとんどが嘘を抱えていたようなものだと思います。奈々璃は過去を。凛と千紗は自分の存在を。千夏さんとなずな先生は真実を。そして大元のECReDは嘘を体現したような存在でしたね。

 

 嘘を重ねて、真実が見えなくなるまで重ねすぎて。科学が人々の暮らしを豊かにするという考え方も、千夏さんが千紗を守りたいという気持ちも、その根本は必ずしも悪ではなかった。けれど方法を間違えてしまった。いつかの千夏さんも言っていたけれど、一番大切なものを守るためなら2番目に大切なものを犠牲にしても構わない。そんな考え方が悲劇を連鎖させてしまった人間の欲というものなのかもしれません。

 でも最後には間違いを理解できた。嘘で歪んだほつれを人と人が元に戻して、奈々璃や凛、千紗も元のあるべき存在に戻ることができました。そしてそれはなずな先生も。本当は寂しいのに、明るくカラ元気に振る舞っていた女の子も、本当の家族を見つけることができました。みんなみんな、お互いを思いやる気持ちがあったからこそ嘘をついた。だからほんの少しの、1歩を踏み出す勇気を。本当のことを打ち明ければ、お互いを理解するのにそう時間はかからないのかもしれません。奈々璃と凛、そして千夏さんなずな先生千紗の関係性こそ『絆』というテーマだったのだと感じました。

 

アクアがなくなっても、僕たちは何も変わらなかった。

ただここに残ったのは、人の温もりと、人の優しさだった。

 

鳴海颯太


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 もう1つのテーマ『命』について触れるのならば、劇中でも語られていた通り科学が発展する現代社会に対する警鐘のようなものだと感じました。

 命の扱い方にも2通り語られていた場面があって、僕達の生活は数多くの犠牲の上に成り立っている。これはまあ、僕自身が特別語ることでもなく、プレイヤー自身が各々が感じた通りだと思います。

 もう1つは千紗や凛、そしてクッキーやルナのように科学によって創られた存在。もし近い未来、空想が現実になったら僕達は手を取り合えるだろうか?

 正直な話、奈々璃が感情をコントロールされたことも、千紗がクローンという存在だということで悩むこともあんまり理解できない。特に千夏さんが千紗が死ぬ運命を変えたかったという話なんて最もだ。人が仮に自分の未来を全て覗き見ることができたとして、その結末が悲劇だったらどうして悲しむことができるだろうか。人の運命とは物語である。どんな喜劇や悲劇でさえ、それを決めるのは人間の主観だ。例えば最愛の娘が事故で無くなることも、恋人が病に侵され亡くなることも、友人が突然自殺を図ることでさえ、そのどこまでもが想像の内。ありふれた光景。決して珍しいことじゃない。

 でも僕達には心がある。心は決して独りでいることでは成り立たない。自分と他人とが関わることで心は育っていく。

だから娘息子、恋人、友人という身近な存在ほど死はグッと近くなる。失うことがありふれているのならば、失わず、傍に在ることもまたありふれているのだから。僕達は、そうやって心を満たしていたものに影響を受けざるを得ない。満たされたいのは、幸福を求めるため。心が存在する限り幸福を求めるようにできているんだと思う。幸福でありたいと悩むこと。自分がいないことが幸福だと悩むことも、幸福の輪に自分がいないと悩むことも。幸福について悩むこと自体が皆等しくヒトたる証明なのだと僕は思う。

 

ものの価値観は、時代によって変化する。

しかし、絶対に変わらないものも存在する。

それが人の命であり、心であるんだ。

それが変わっては、いけないんだ。

 

鳴海颯太

 

 

 ラケルは悲劇を生まないことこそ最良の選択だと判断した。それは千夏さんが目指していたものも似通ったものだと思う。でもきっとその選択肢は間違っている。僕達人間の歴史はいつだって失うことを重ねてきた。それはある意味、必要だったり、必要じゃなかったり……犠牲の上に成り立っているんだと思う。それでも人間は前に進んできた。過去ではなく、未来へ。でも失った人達が前を向くにはどうしたらいい?きっとそれも、他人との関わりの中で前を向くしかないのだろう。なずな先生でさえきっと内心は孤独だったのだろうけど、八雲先生がいて、千紗や颯太達がいた。でもラケルと千夏さんは……もう肉体が無いから、塞ぎ込むしか無かったというのも悲しい話です。

 そういった意味で、科学で創られた存在とはどうしても壁があって人間とそうでないものが分かり合うのは限りなく難しいと思います。でも考える時間は十分にある。ヒトという種族が理解できなくても、僕達個人が何かできるのならば、『心』を抱える存在に手を差し伸べることができるかもしれない。

 

 ネコやイヌに心があるのかはわからないけど、人が作る『命』には必ず『心』が宿ると思います。そういったものと分かり合うことこそ、人類が進むべき次の1歩なのかもしれません。

 

 

 

 ここまでよくわからんこと書きましたが、僕のお気に入りキャラは間違いなくなずな先生。僕の中での主人公にしてメインヒロイン。孤独に悩みもがくことこそ人間味があって大好きなキャラです。
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長々と感想を書きましたが、これを書いている今現在僕自身もかなり精神的に追い詰められてまして、内容が歪んだ記事になりました。なんとか次のエロゲまでたどり着けるといいですね。

 

 

それではまた会う日まで。ノシノシ